こんな記事が6月1日の朝日新聞に載っていました。
慰安婦発言を国連委が批判 「日本の政治家、事実否定」
(2013年6月1日 朝日新聞)
国連の拷問禁止委員会は31日、旧日本軍の慰安婦問題で「日本の政治家や地方の高官が事実を否定し、被害者を傷つけている」とする勧告をまとめた。橋下徹大阪市長らの最近の発言を念頭に置いたものとみられる。日本政府に対し、こうした発言に明確に反論するよう求めている。http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201305310661.html
勧告は、慰安婦問題について「国会議員を含む政治家や地方政府高官によって、事実を否定する発言が続いている」と批判。
日本政府がただちにとるべき対応として、「当局者や公的人物による事実の否定や、それによって被害者を再び傷つける行為に反論すること」をあげた。
慰安婦問題では、元慰安婦に対する公的な補償や救済措置がなく、関係者の訴追が行われていないことに懸念も表明。
さらに日本政府に対し、全ての歴史の教科書に慰安婦問題を含めるように求めた。
お読みいただけばお分かりのように、従軍慰安婦の問題は国際的には事実であり、元慰安婦たちは公的な補償を受けるべき被害者であり、従軍慰安婦の制度にかかわった関係者は訴追されるべき犯罪者であるのです。
国連の拷問禁止委員会が、この歴史の事実を教科書にきちんと載せるようにとまで、踏み込んが勧告を行っています。こんなことを国連委に求められるというのは、いったいどういう国家かと思います。
一方こんな記事が、上記記事の2日前に掲載されていました。
自民、教科書会社を聴取 検定見直しへ慰安婦記述など問題視 「圧力かける意図ない」
(2013年5月30日 朝日新聞)
教科書検定の見直しを検討している自民党の部会が28日、教科書出版会社の社長らから編集方針などを聴いた。教科書の記述内容をめぐり、南京事件や慰安婦問題などの質疑が続いた。党側は「出版社に圧力をかける考えはない」と説明している。
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201305290596.html
出席したのは、東京書籍、実教出版、教育出版の社長や編集責任者ら。党によると、発行部数などが多い主な社に要請し、3社が出席。自民党国会議員約45人も参加した。
「南京事件の犠牲者数は事件自体がなかったという説も含めてさまざまある。なぜ、『十数万人』や『30万人』という説しか紹介しないのか」「慰安婦について、旧日本軍の強制性をうかがわせる表現が強い」
出版社側は、「学習指導要領にのっとった記述をし、検定も通っている」「学説の状況から『定説』と考えられる事柄を記述している。執筆者も専門的な知識とバランスを備えた人を選んでいる」などと説明。
自民党が問題視するのは、日中戦争や太平洋戦争などをめぐる「自虐史観」と呼ぶ記述。犠牲者数をめぐって諸説ある南京事件などを念頭に、 「学説で確定したこと以外は本文に記述しない」などの項目を参院選公約に盛り込む検討をしている。
橋下氏の慰安婦発言に対し、国家としてきちんと反論すべきだと、国連委から勧告を受ける日本政府。しかし、自民党はこういうことを堂々とやっているのです。
きちんと検定をクリアした教科書や教科書会社に対する、特定の政党や政府によるこのような圧力が許されていいはずがありません。
45人もの自民党員で教科書会社の幹部や編集責任者を取り囲む。これが圧力でなくてなんだというのでしょう。
橋下市長は慰安婦問題で批判の矢面にさらされています。橋下市長のような人物は当然批判されてしかるべきだし、さっさと公職を退くべきだと思う。
それでも、こういうことをやっている自民党や安倍内閣が、橋下よしましだとは決して言えません。
橋下市長はわかりやすい暴言を吐いて批判されていますが、安倍内閣や自民党のやっていることはもっとたちが悪い。
橋下発言は、安倍内閣にとってちょうど良い隠れ蓑になっているのです。橋下市長がどこまで意図してやったかはわかりませんが、橋下市長の発言によって安倍内閣の支持率は押し上げられました。前にも書きましたが、そこのところを忘れてはいけないと思います。
「学説で確定したこと以外は本文に記述しない」などの項目を参院選公約に盛り込む検討をしている。
事故前は原発は安全で絶対に事故は起こらないと言っていた御用学者が、原発事故がおこると今度は放射能は100ミリシーベルトまで安全だと公言する。
政府に都合のいいことをいう学者など日本に掃いて捨てるほどいるでしょう。そういう学者が異を唱えたら、学説で確定したことなどなにひとつなくなって、何も書けなくなってしまいます。
もちろん、それが政権の狙いであることは言うまでもありません。
先日の読者の声欄にこんな投書が載っていました。
安倍首相や橋下氏が歴史から学ぶことなど、絶対にありえない。
93歳歴史学者。さすがです…。
ところで、ここで呼びつけられた実教出版は、こんなふうにがんばっている教科書会社です。
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2014年度の教科書で原発を批判する実教出版 放射能安全教育に要注意
日本では長年学校教育の場においても原発の安全神話が教えられてきましたが、その様子が変わってきたようです。
震災・原発、教室で問う 2014年春からの高校教科書(朝日新聞 2013年3月27日)
2014年から主に高校2年生で使われる教科書の検定結果が出た。合格した教科書132点(共通教科のみ)の多くで、東日本大震災や東京電力福島第一原発の事故についての記述が登場。国語や音楽では、高校生の興味をひく工夫が目立った。
中でも目を引くのが実教出版の教科書
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実教出版は「政治・経済」で、原発事故により原発の「『安全神話』は完全にやぶれた」と指摘。日本のエネルギー政策についても「原発推進に傾斜する一方で再エネ(再生可能エネルギー)を冷遇したため、過去20年間で再エネの普及が停滞した」と踏み込んだ。
実教出版は「日本史B」で政治家や官僚、マスコミなどが「原発の安全性を宣伝し、批判的意見を封じ込めてきた」と指摘。
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