すでに多くの方がご存知のように、あの小泉元首相が明確に脱原発宣言をしたというニュースが、ネット上でも大きく取り上げられました。
風知草:小泉純一郎の「原発ゼロ」=山田孝男
毎日新聞 2013年08月26日 東京朝刊
(ブログ記事下部に全文転載しています)
脱原発、行って納得、見て確信--。今月中旬、脱原発のドイツと原発推進のフィンランドを視察した小泉純一郎元首相(71)の感想はそれに尽きる。
三菱重工業、東芝、日立製作所の原発担当幹部とゼネコン幹部、計5人が同行した。道中、ある社の幹部が小泉にささやいた。「あなたは影響力がある。考えを変えて我々の味方になってくれませんか」
小泉が答えた。
「オレの今までの人生経験から言うとね、重要な問題ってのは、10人いて3人が賛成すれば、2人は反対で、後の5人は『どっちでもいい』というようなケースが多いんだよ」
「いま、オレが現役に戻って、態度未定の国会議員を説得するとしてね、『原発は必要』という線でまとめる自信はない。今回いろいろ見て、『原発ゼロ』という方向なら説得できると思ったな。ますますその自信が深まったよ」
3・11以来、折に触れて脱原発を発信してきた自民党の元首相と、原発護持を求める産業界主流の、さりげなく見えて真剣な探り合いの一幕だった。(引用ここまで)
続きを読む⇒ http://mainichi.jp/opinion/news/20130826ddm003070155000c.html
わたしは小泉元首相が首相時代にやってきたことを全く評価していませんが、それについては今はおいておきましょう。
ただ、小泉氏は少なくとも、どんな政策が国民に受け入れられ、勝算があるか、というような政治的嗅覚には優れていると思います。
福島の事故の後、しかも汚染水問題がのっぴきならない深刻な事態に陥っている現在、原発再稼働・原発推進などという方針は、もはや政治的に見えてあり得ないというのは誰が見ても正しいと思う。
大飯原発を強行再稼働した野田前政権でさえ、脱原発を掲げていました。
この期に及んで原発再稼働・原発推進などという旗を掲げて突っ走れるのは、安倍首相が群を抜いた無能なぼんぼん政治家であり、その取り巻きもまた度を超えた無能集団であるからこそだと思います。
こんな無能集団に国の運命をゆだねてしまった日本人の先行きは暗い。
安倍政権は、一昨日またこんなあり得ない方針を出しました。
汚染水漏れ審議、国会先送り 五輪招致への影響考慮
朝日新聞デジタル 8月30日23時2分 (朝日新聞 8月31日朝刊 1面)
東京電力福島第一原発の放射能汚染水漏れをめぐり、衆院経済産業委員会の閉会中審査が30日、9月中旬以降に先送りとなった。経産省が来週中に打ち出す汚染水対策を見極めてから、審議日程を再調整する。9月7日の国際オリンピック委員会(IOC)総会前に、委員会審議が紛糾すれば、2020年の東京五輪招致に影響しかねないとの判断も働いた。
閉会中審査は、国会閉会中に重要案件を審議する必要があると国会が判断すれば、開くことができる。
経産委は30日に理事懇談会を開き、経産省の平将明政務官らが「来週中に現地対策本部を立ち上げ、具体的な対応に入る」と説明した。与党は「対応策をしっかり見て、もう少し時間をとったうえで、閉会中審査を検討したい」と提案し、野党も「政府の対策を邪魔するつもりはないので、対応が決まったら委員会を開いてほしい」と応じ、先送りが決まった。
http://www.asahi.com/politics/update/0830/TKY201308300429.html?ref=reca
汚染水漏れ審議、国会先送り もともと閉会中審査は、野党の要求に応じる形で自民党が開催を検討した。だが、五輪開催地の決定直前に開けば、審議を通じて事故の深刻さや政府の対応の遅れがさらに強調されて世界に伝わり、東京招致に悪影響を及ぼしかねない――。こんな懸念が政権内に広がった。 前にも書きましたが、無能なぼんぼん政治家の安倍首相とその取り巻きには、この国家的・全世界的危機を危機と認識する能力がまじで欠如しているのでしょう。この期に及んでオリンピックの誘致を優先するとは。だいたい、こんな汚染された日本にオリンピックなんて、それ自体があり得ません。 タンク4カ所で高線量=最高毎時1800ミリシーベルト ―福島第1汚染水漏れ・東電 時事通信 8月31日(土)22時57分配信 東京電力福島第1原発で放射能汚染水を保管しているタンクから水漏れがあった問題で、東電は31日、同原発敷地内の同型タンク群4カ所で高線量を確認したと発表した。このうち2カ所についてはこれまでに高い線量が確認されていた場所だが、さらに値が上昇し、最大毎時約1800ミリシーベルトだった。4時間浴び続ければ死亡する線量に当たる。 (引用ここまで) 1800ミリシーベルト=1.8シーベルト。7シーベルトを浴びたら、人間は確実に死ぬといわれています。記事にもあるように、1800ミリシーベルトとは、この場所に4時間いたら、確実に死んでしまうほどの高汚染です。 この汚染がタンク4カ所で判明していて、350基あるタンクのすべてが今回汚染水漏れによる高線量が発覚したタンクと同型というのだから、汚染水漏れがこれから次々と連鎖して起こる可能性があるということです。 ↓ ↓ こちら汚染水問題に関する「国際環境NGOグリーンピース」の署名サイト。 署名して汚染水問題が解決するわけではありませんが、多くの国民の関心が集まっているということを政府や東電に知らせることはできると思います。8月18日までの一次集約分8234筆がいったん提出されましたが、現在も署名受付中だそうです。 ↓ ↓ 東京電力さん、安倍首相、 *集まった署名は、東京電力と安倍首相(日本政府)に提出します。 いくら危機感を持っても、わたしたち国民に何ができるといって、できることがあまりないのがもどかしいばかりです。多くの日本人がこの危機を知って、危機感を持ってほしいと思います。 クリックして応援お願いします! (小泉氏の脱原発宣言 記事全文転載) 毎日新聞 2013年08月26日 東京朝刊 脱原発、行って納得、見て確信--。今月中旬、脱原発のドイツと原発推進のフィンランドを視察した小泉純一郎元首相(71)の感想はそれに尽きる。 三菱重工業、東芝、日立製作所の原発担当幹部とゼネコン幹部、計5人が同行した。道中、ある社の幹部が小泉にささやいた。「あなたは影響力がある。考えを変えて我々の味方になってくれませんか」 小泉が答えた。 「オレの今までの人生経験から言うとね、重要な問題ってのは、10人いて3人が賛成すれば、2人は反対で、後の5人は『どっちでもいい』というようなケースが多いんだよ」 「いま、オレが現役に戻って、態度未定の国会議員を説得するとしてね、『原発は必要』という線でまとめる自信はない。今回いろいろ見て、『原発ゼロ』という方向なら説得できると思ったな。ますますその自信が深まったよ」 3・11以来、折に触れて脱原発を発信してきた自民党の元首相と、原発護持を求める産業界主流の、さりげなく見えて真剣な探り合いの一幕だった。 呉越同舟の旅の伏線は4月、経団連企業トップと小泉が参加したシンポジウムにあった。経営者が口々に原発維持を求めた後、小泉が「ダメだ」と一喝、一座がシュンとなった。 その直後、小泉はフィンランドの核廃棄物最終処分場「オンカロ」見学を思い立つ。自然エネルギーの地産地消が進むドイツも見る旅程。原発関連企業に声をかけると反応がよく、原発に対する賛否を超えた視察団が編成された。 原発は「トイレなきマンション」である。どの国も核廃棄物最終処分場(=トイレ)を造りたいが、危険施設だから引き受け手がない。「オンカロ」は世界で唯一、着工された最終処分場だ。2020年から一部で利用が始まる。 原発の使用済み核燃料を10万年、「オンカロ」の地中深く保管して毒性を抜くという。人類史上、それほどの歳月に耐えた構造物は存在しない。10万年どころか、100年後の地球と人類のありようさえ想像を超えるのに、現在の知識と技術で超危険物を埋めることが許されるのか。 帰国した小泉に感想を聞く機会があった。 --どう見ました? 「10万年だよ。300年後に考える(見直す)っていうんだけど、みんな死んでるよ。日本の場合、そもそも捨て場所がない。原発ゼロしかないよ」 --今すぐゼロは暴論という声が優勢ですが。 「逆だよ、逆。今ゼロという方針を打ち出さないと将来ゼロにするのは難しいんだよ。野党はみんな原発ゼロに賛成だ。総理が決断すりゃできる。あとは知恵者が知恵を出す」 「戦はシンガリ(退却軍の最後尾で敵の追撃を防ぐ部隊)がいちばん難しいんだよ。撤退が」 「昭和の戦争だって、満州(中国東北部)から撤退すればいいのに、できなかった。『原発を失ったら経済成長できない』と経済界は言うけど、そんなことないね。昔も『満州は日本の生命線』と言ったけど、満州を失ったって日本は発展したじゃないか」 「必要は発明の母って言うだろ? 敗戦、石油ショック、東日本大震災。ピンチはチャンス。自然を資源にする循環型社会を、日本がつくりゃいい」 もとより脱原発の私は小気味よく聞いた。原発護持派は、小泉節といえども受け入れまい。5割の態度未定者にこそ知っていただきたいと思う。(敬称略)
(引用ここまで)
汚染水漏れ、国会チェック機能果たさず 審議先送り
朝日新聞デジタル 2013年8月30日23時58分 (朝日新聞 8月31日朝刊 3面)
東京電力福島第一原発の放射能汚染水漏れをめぐり、国会の機能不全が露呈した。2020年東京五輪招致への影響に気兼ねし、衆院経済産業委員会の閉会中審査が先送りに。五輪のために汚染水問題にふたをしたとの批判を招きかねない対応に被災地では怒りの声が上がる。五輪招致関係者からは「逆に招致に悪影響を与える」との懸念も出ている。
30日、国会内で開いた衆院経済産業委員会の理事懇談会。自民党の塩谷立筆頭理事が「安倍晋三首相も政府を挙げて取り組むと言っている。もう少し時間をとったうえで検討したい」と表明した。民主党の近藤洋介筆頭理事は現地視察を提案。政府側が五輪招致を決める9月7日の国際オリンピック委員会(IOC)総会前に打ち出す汚染水対策を見極めることで、事実上先送りを容認した。
http://www.asahi.com/politics/update/0830/TKY201308300492.html
(引用ここまで)
さすがに朝日新聞もこのニュースを31日付の朝刊の第一面で報道していました。記事の内容は控えめな表現で、トップ記事でもなかったですが。
安倍氏の思考=好きなことだけをやっていたい、いやなことは考えたくない。
本当に信じがたいですがこれが今の日本の現状です。
昨日深夜、ネットでこんな情報も流れてきました。
残りの2カ所は今回新たに判明。東電担当者は「4カ所とも汚染水が漏れている可能性は否定できない」としている。
接合部にゴム製のパッキンが使われている同原発内の同型約350基の安全性に対する懸念がさらに高まるのは確実。汚染水の保管は危機的状況が続いている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130831-00000131-jij-soci
そんなことが起こったら、こんな高線量の場所に人間が立ち入ることは不可能になってくるから、もはやまともな汚染水対策作業なんてできなくなるのではないかということは、わたしのような素人でも予想がつきます。
私は専門家ではないので、福島原発の状況を判断することはできませんが、専門家の多くはもう汚染水問題は手の施しようがないと言っています。
「史上最悪の高濃度汚染水、今後30年以上太平洋へ」「日本政府、節約のために対策を2年以上放置」米専門家が指摘/ヴォイス・オブ・ロシア(8月7日)
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/30287-28b7.html
これ以上、わたしたちの海を放射能で汚さないで!
http://www.greenpeace.org/japan/ja/Action/TepcoWater/
風知草:小泉純一郎の「原発ゼロ」=山田孝男