こちらの写真↓、何をしているところかわかりますか。
9月8日日曜日、新宿・大久保通りでレイシスト(差別主義者)による「ヘイトデモ」が計画されていました。
ヘイトデモは最近新聞でも取り上げられ、問題になっていますが、これは合法的なデモです。日本では公道でデモをするには「デモ申請」を行うことが必要ですが、ヘイトデモ隊は警察にちゃんとデモ申請をして、認められているからです。
「良い韓国人も悪い韓国人もみんな殺せ」と叫ぶヘイトデモ隊は、国によって公式に許されているのです。
車道に座り込んだり、寝転んだりしている人たちは、このヘイトデモに抗議するために集まった市民たちです。国がこういうデモを認めている以上、デモをやめさせるには、自分たちの体を張って食い止めるしか方法がありません。ヘイトデモ隊がこれ以上先に進めないように、車道に身を投げ出して行く手をふさごうとしているところだそうです。
道路に座り込み、(ここには写っていませんが)交差点の手前にいるらしいレイシスト・デモ隊に対して「帰れ」コールをする非暴力の市民たちに対して、周りにいる警官や機動隊はいったい何をしたか?
彼らはヘイトデモ隊には手を出さず(これは許可されたデモだから、暴力行為でもない限り手を出すことはできないです)、こうやって道路に座り込んで、あるいは身を投げ出して、ヘイトデモを阻止しようとする市民の側を強制排除しようとしました。
この動画、しっかり記憶にとどめておいてほしいです。
ヘイトデモ隊ではなく、それに抗議する市民の側が排除され、規制される。これは今の日本という国を表す、そしてこれから日本が進もうとしている方向を暗示する、非常に象徴的な光景だと思います。
社会の右傾化が加速度的に進む日本。心ある市民がこういう形で抵抗をし続ける限り、こういう光景は繰り返されるでしょう。それどころか、市民に対してこれからもっとひどいことが行われるかもしれません。
動画はこちらから⇒ http://www.youtube.com/watch?v=m5-7yyF7-90
(ブログ:「イノレコモンズのふた。」より引用)
http://illcomm.exblog.jp/19626702/
「わたしたちが生きる社会に、「表現の自由」はあるが、「差別の自由」などというものは存在しない。もしそういうものが現れたら、それを見すごしにせず、くいとめることが、わたしたちの義務であり、「表現の自由」はそのためにある。」(イルコモンズ「差別撤廃・東京大行進 賛同人コメント 」)
「まずはじめに確認しておかないといけないのは、ここで「かえれ!」と云っているのは、警官や機動隊員たちに対してではなく、この交差点の手前にいるレイシスト(人種差別者)たちとそのデモに対してである。大勢の人が車道に身を投げ出しているのは、レイシストたちの卑劣なデモを、どうにかこの場でくいとめ、この先の道を通さないようにするためである。司法も、行政も、立法も、なにもあてにならないとき、生身の人間が非暴力でデモをくいとめるのに、ほかにどんな方法があるだろうか。あるのなら、おしえてほしい。したがって、これは「ダイ・イン」ではなく、明確な意思と決意を持った「シット・イン」である。あるいは、「人間の鎖」ならぬ「人間の壁」である。レイシストたちへのカウンターアクションがこのように、「抗議」のフェイズから「抵抗」のフェイズに変わった(そう、「いつの間にか変わっていた。誰も気がつかない間に変わった」)瞬間の、その場所に、秋山理央はいつものようにちゃんといて、この「市民的不服従」の風景を映像に残していた。
レイシストたちがまた同じようなデモをやれば、これと同じような風景がまたどこかに現れるはずなので、東京都の公安委員会と警察署は、このことから学んで、レイシストたちが主催するデモに「中止」を通告しつづけるべきだと思う。それともうひとつ。現場に配置された機動隊員たちは、もっと冷静に、かつ、礼節と敬意をもって、座りこんだ人びとに接するべきだと思う。現に、この日の別のシット・インでは、女性には女性の機動隊員があたり、もっと丁寧に接していたのだから、できないはずがない。やればできることだ。車道に座り込んだひとりひとりに声をかけ、顔をみて説得し、そのうえで、その腕なり脚なりを持つことを断ってから、丁寧に外に連れ出すべきである。そこに座りこんだひとりひとりは、社会的にも人道的にもゆるされないことに怒りをおぼえ、自分が「ただしい」と信じていることを、ひとつきりしかない自分の身を投げ出してやろうとしている、ひとりの人間なのだから、その気持ちは、同じようなことを職務とするはずの警官や機動隊員にもわからないはずはないだろう。自分がつかんでいる腕や脚にそういう人間の良心の重みを感じてほしい。人命救助するときと同じくらい丁寧に接してもらいたい。ひとをモノのようにあつかってはならない。」
(引用ここまで)
日本ではヘイトデモが野放しにされ、それに反対する市民の方がかえって規制される。醜悪なヘイトデモを規制するために、海外のようにヘイトデモ自体を取り締まる法律を作るべきだ。そういう声もあります。一般論として、こういった法律を作ることはいいことだとわたしも思います。
けれども、日本でヘイトデモを規制する法律を作ることには、以前にも書きましたが慎重論があります。なぜならデモに対するいかなる規制も(それがヘイトデモのような特定のデモに対する規制であっても)、今の日本ではそれを突破口にしてまともなデモまで規制する口実にされかねない危険があるからです。わたしもその危惧を感じます。
日本では、醜悪なヘイトデモを規制するまともな法律のひとつも作れない。したがってヘイトデモが野放しになる。警察が規制しないから、市民が自ら体を張ってヘイトデモに抗議するしかない。その結果、ヘイトデモに抗議しようとする市民の方が警察に排除される。時には逮捕される(逮捕者はヘイトデモ側にも出ています)。
この流れ全体がとても日本的な光景です…。
そしてこの流れは今後ますます強化されていくのではないか。そんな危惧を最近はひしひしと感じます。
こちらの署名サイトをご覧ください。
宛先:東京都公安委員会 2
ヘイトスピーチ・デモの排除を目指して、新大久保から。
新大久保には多くの韓流商店が並び、いつもは韓流ファンや観光客でにぎわいます。しかし、多くの店舗はヘイトスピーチ・デモの度に深刻な経済的打撃を受けています。街を楽しみにきた方も、極めて不快な光景を目の当たりにします。
また、デモコース周辺には多くの保育園や小学校があります。子供たちは、「殺せ」「皆殺しにしろ」と言った表現を使う大人たちを見て、どう思うのでしょうか。
6月30日にはまたデモが行われる予定のようです。東京都公安委員会長の仁田陸郎様と他の委員の皆様には、これらのデモを行った経緯がある団体から届出があった場合には、デモ行進を新大久保のコリアタウンでは行わせないよう指導することを求めます。
デモが憲法で保障された権利であることは承知しています。しかし、無差別な虐殺を煽っているとしか思えない発言を繰り返すデモを無制限に容認するのは、さすがにおかしいと思います。
私は新大久保の近くに住んでいる在日コリアンですが、こうした社会運動には今まで全く参加したことがありません。しかし、「良い朝鮮人も、悪い朝鮮人も、どちらも殺せ」なんてプラカードが挙げられ、醜いレイシズムがまき散らされれば、息苦しくて問題意識を持たざるを得ませんでした。
東京都公安委員会の皆様には真摯なご対応を頂きますようお願い申し上げます。
To:
東京都公安委員会
東京都公安委員会に以下の要望をします。
①過去に「朝鮮人を殺せ」等の人種差別的なヘイトスピーチを伴うデモを行った団体からデモ行進・街宣活動の届出があった場合、デモコース、街宣場所、及びそれらの実施時間帯等について慎重に指導すること。
②過去に「朝鮮人を殺せ」等の人種差別的なヘイトスピーチを伴うデモを行った団体のデモ参加者による明白な違法行為が見られた場合、迅速、且つ、公正に取り締まること。
③過去に「朝鮮人を殺せ」等の人種差別的なヘイトスピーチを伴うデモを行った団体から、今後、デモ・街宣活動の届出があった場合には、デモコースの選択、及び、街宣活動場所の選択に関して、「大久保通りの北新宿1丁目乃至大久保2丁目までの区間」 及び 「職安通りの北新宿百人町乃至東新宿までの区間」は絶対に容認しないこと。
(引用ここまで)
お読みいただければわかると思いますが、これはヘイトデモ自体の禁止を求めるものではなく、デモコースや街宣場所、時間帯に十分配慮すること、デモ隊に違反行為があった場合は速やかに取り締まること、そして特定の場所においてはデモを認めないことを求めたものです。
デモ自体は憲法で保障された権利であるということをふまえた上で、考え抜いて出された要望だと思います。
上に書いたような理由から、わたし自身当初は署名すべきかどうか迷いましたが、ヘイトデモに対する抗議の表明として署名しました。
賛同いただける方は署名をよろしくお願いします。
署名はこちらから
クリックして応援お願いします!