「美味しんぼ」の鼻血の描写に関しては、原発推進派あるいは容認派のみならず、反原発派と言われる人たちの中からも、バッシングの声があがりました。おおざっぱにいえば、放射能の影響でもなんでもない単なる鼻血をあたかも原発事故であるかのように書くことは、福島差別につながり、福島の復興の妨げになるというのですね。
前にも書いたようにわたしの所属するMLでも、「果たして鼻血は放射能の影響であると言えるか?」という論争…というか、ほとんど罵倒合戦に近い泥仕合が起こりました…。同じ脱原発派がなんでこんな近親憎悪的な不毛な争いをしないといけないのかとつくづく嫌になりましたが、それについてはこれ以上書くのをやめておきます。
放射能と鼻血の因果関係を科学的に証明できるか?と言われればわたしにはその答えはわかりません。専門家の中でも、の立場により意見は分かれています。
けれども、思い出していただきたいのは、チェルノブイリの経験から考えて、原発事故の影響で生じたと推測される健康被害のほとんどは、明確な因果関係など証明できるものではないということです。
チェルノブイリ事故では、原発事故で生じたと公式に認められている健康被害は「小児甲状腺がん」だけです。
けれども実際には、以下のグラフで見られるように、あらゆる種類の疾患が原発事故後に増加しています。
チェルノブイリ支援を長年行ってこられた河田昌東さんは、「現地では、がんよりも、心臓病や脳梗塞、糖尿病、免疫不全になる人が大多数。子どもの糖尿病も目立つ。」
と言われています。(参考:http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-category-41.html
)
福島の事故後、日本でも子供の甲状腺がんが多発していますが(それすら、知っている人は一般的には少ないのではないでしょうか)、日本ではチェルノブイリで唯一認められた小児甲状腺がんすら、発症時期が早すぎるとして原発事故の影響とはみなされていません。
鼻血の話を書いただけで、これほど大騒ぎになり、大バッシングが起きる。だとしたら、これから起こるかもしれない、あるいはすでに起こっているかもしれないもっと深刻な、種々様々な健康被害はいったいどうなるのでしょう。
チェルノブイリの事故では、上記グラフに見られるようにさまざまな病気の統計を取っていたので、見えてくることもありました。しかし日本でこれだけの調査ができるでしょうか? おそらくいまの政府は絶対にやりたくないはず。
鼻血を出す人が増えたという風評(とは私は思っていませんが)があるなら、それが本当かどうかちゃんと調査をすればよいのです。そうしたら、それがデマかどうかわかる。でもそれをせずに、風評被害を起こすとバッシングする。
風評被害という鶴の一声は、ちゃんとした調査を行わないための口実のように、私には思えます。
さて、美味しんぼに登場し、バッシングの真っただ中にいたであろう双葉町前町長の井戸川さん。今回の件ではさぞ大変な思いをされただろうと思い、井戸川さんのお話しをYOUTUBEで聞いてみました。井戸川さん、お元気でした。
「美味しんぼ鼻血批判に抗議! 登場人物井戸川元町長の演説に拍手喝采!」
動画はこちらから↓
http://www.youtube.com/watch?v=y7ySiiKMd-M
井戸川さん:
「放射能の持つ意味を隠ぺいしないで、本当の意味の情報提供して、最終的に住民がその場を離れるか離れないか、判断してもらえばいいんですよ。別に隠したりなんかしなくていいんですよ、それをいまやっているからおかしいんですね。
風評被害という言葉でなんかやってるようですけど、風評被害というのはわたしは望むところなんです。ほんとに風評被害であれば、私はここに立ってません。双葉町に住んでいます、今」
こちらは、原発事故後、様々な体調不良を直接・間接的に体験した母親たちの証言集です。ご覧ください。
「「鼻血は事実」~福島の母親「美味しんぼ」言論抑圧に抗議」
http://www.youtube.com/watch?v=lF1_yVpH2SI
ネットのおかげでテレビや新聞では得られない情報を知ることができるとはいえ、関西からは福島は遠いです。
明日になりますが、井戸川さんを迎えて、大阪で大集会が開かれます(定員400人)。
福島の生の声と子供の健康被害に関する現状がリアルに聞けると思います。
みなさん、いかがですか。
●6月14日(土) 13:30~17:00 浪速区民センター (地下鉄千日前線「桜川」、JR「芦原橋」「難波駅」下車約5分 http://www.osakacommunity.jp/naniwa/
)
『放射能健康診断実現!被ばくしない権利の確立を!
~放射能健康診断100万人署名を全国に広げよう~』西日本集会
◆内容
基調報告
講 演『避難は出来ない原発事故 なぜ? あなたが逃げるの逆でしょう~福島に学んで避難の拒否宣言を~』
講師:井戸川克隆さん(福島県双葉町前町長・放射能健康診断100万人署名運動全国実行委員長)
訴え:原発賠償訴訟原告・避難者
報 告 『小児甲状腺がんアウトブレイク(異常多発)とドイツ国際会議の意義』
報告者:山本英彦さん (医療問題研究会・医師)
報 告 『世界が見つめるフクシマ/放射能被害との闘い』
報告者:豊田護さん (週間MDS新聞社・記者)
全体討議
◆呼びかけ
大飯原発差し止め訴訟で、歴史的な勝利判決が出されました。判決は、「人格権」「幸福追求権」にまで踏み込み、原発運転を止めるよう判断しました。また、フクシマ原発事故と被害の現実を前に、「人間の能力の限界」を認め、原発の危険性を指摘しています。安倍政権の原発推進・再稼働制作に大きな楔を打ち込む歴史的判決です。一方、原発事故の健康被害が拡大しています。5月19日新たなデータが公表され、福島県の子どもたちに89人の小児甲状腺がんが見つかったと報告されました。通常、100万人に一人といわれる小児甲状腺がんが、約28万7千人中89人(100万人に310人)も発見されるという異常事態。明らかに異常多発(アウトブレイク)です。
しかし、国や東電も福島県も「放射能の影響ではない」と因果関係を否定し何の対策もとりません。緊急に、国と東電の責任を明らかにし、「どこでも誰でも無料の放射能健康診断・治療」を制度化させる必要があります。
※「県民健康管理調査」は行政調査であり、未だ事故責任を認めた医療補償の制度は確立しておりません。
6月14日の集会では、福島県双葉町前町長の井戸川克隆さんや、低線量被ばくの危険性を訴える医療問題研究会の医師、避難者のみなさんと共に、「フクシマの現実」と被ばくについて考えます。世論を喚起し、放射能健康診断・医療制度実現のために何が必要か。大飯原発差し止め訴訟勝利判決を受け、どのように原発再稼動を止めていくのかなど討議します。ぜひご参加ください。
参加協力費:500円 ※定員400名まで。
★放射能健康診断100万人署名にご協力ください→ http://hinan.jimdo.com/
医療署名/
主催:放射能健康診断100万人署名運動関西実行委員会
お問い合わせ:(小山)070-5653-7886/(山川)090-8536-3170 メール:yama-y@h6.dion.ne.jp
http://no-nukes-hokusetsu.blog.so-net.ne.jp/2014-05-25
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