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元特攻隊予備兵が読んだ『永遠のゼロ』(百田尚樹著) これは安倍首相の論理と同じ

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少し前、わたしの周辺(会社)で、映画『永遠のゼロ』が話題になっていました。

映画見た、よかった、泣いた、まわりはみんな泣いてた、原作読んだ…。


こういう会話を耳にした人は多いのではないでしょうか。
そして、何とも言えない違和感を覚えつつも、どう反論していいかわからず黙りこんでしまうという経験をした方は多いのではないでしょうか。


かくいう私は映画は見ていないし、原作も読んでいません。読んでみないとわからないと言われかもしれないけれど、とても手を出す気になれない。

だってこれ、特攻隊の若者をかっこよく描いた作品ですよね…。しかも原作者は、安倍首相のお友達だという百田尚樹氏。



などとうだうだ考えているときに、朝日新聞の投書欄に『永遠のゼロ』の感想が立て続けに掲載されました。

一つ目は女子高生が書いたもの。全部は覚えていません。でもこの映画を見て、「戦争はいけないと思った」というようなことを書いていた。そんな作品なのか…?


そして二つ目は、元特攻隊員予備軍(海軍飛行隊予科練習生)志願者の書いたもの。


ところで、映画は見ていませんが、この映画の批評を読みました。批判的に書こうとしていたけれど、なかなか書きあぐねている感じでした。

この映画では戦争を肯定的に書いているわけでもないし、軍部の批判もしているとのこと。戦争を知らない若者がこの作品を読んでも、戦争はいけないと感じるという。


では何が問題なのか?


元特攻隊員志願者が書いた投書は、この問いに対する答えを示してくれています。



朝日新聞『声』欄より
永遠のゼロ批判読者投書


さらに2~3日前、こんな投書も掲載されました。


特攻隊基地にい戻れぬ装置



『永遠のゼロ』を読んで感動したという人たちに、とりわけ若い人たちに、この現実を知ってほしいと思います。わたしも戦争は知らない、特攻隊の現実も直接には知りません。でもちょっと注意深く考え、調べてみれば、すぐにわかることだと思う。


特攻隊は美しくなんかない。感動的でもない。ただ残酷で、悲惨で、国家による犯罪的な行為だと思います。



百田氏が東京都知事選で田母神氏の応援演説をしている動画の中に、百田氏の主張を端的に表す興味深い発言があったので、抜粋引用しておきます。


「国民の中で最も戦争を起こしてほしくないのは自衛隊員。
戦争になったら自衛隊員が真っ先に死ぬから。
日本憲法は戦争が起こってほしくないという希望を書いただけの憲法(?)。
この憲法を、戦争を絶対に起こさせないという憲法(?)に変えないといけない。」


(このあと、自衛隊員は日々訓練に奮闘していることが熱っぽく語られる)


「彼らはもし、こんなことが決してあってはいけないけれども、なんらかの都合で日本が戦争に巻き込まれたときには、彼らは命を懸けて日本のために戦うという気概を持って日や頑張っている。けれども彼らを決して無駄死にさせてはいけません…。



これらの言葉から聞こえてくる百田氏の主張は何か。それはこんなものではないかと思います。


「戦争はもちろんいけない(いまどき、右翼でも露骨な戦争賛美なんてしない)。

でももし戦争になったなら、日本のために命を懸けて戦いなさい。それは美しく崇高なことなのだから…。


これが百田氏の主張であり、『永遠のゼロ』の中にも、このような思想が貫かれているのではないかと想像します。


戦争はいけない。ほとんどの人がそう考えることでしょう。

でも戦争の本当の悲惨さを知らずに漠然とそう考えている場合、「戦争はいけない」という考えは、ちょっとしたきっかけで簡単に

「でも戦争が起こったら国のために命を懸けて戦わないといけない」

という考えに変化してしまうものだと思います。


戦争など望まない普通の人がそんな風に思いこまされる。それはかつて国を上げて戦争を賛美したころの日本人と同じ。

日本は世界で最も平和な国といわれてきたけれど、日本人の意識自体は、実は国を挙げて戦争を賛美した当時から、大して進歩していないのではないかと悲観的になる今日この頃です。

この映画がヒットして、多くの人が、いい年をした大人までもがこの映画に感動したという日本は、今とても危うい状態にあると思います。


繰り返しになりますが、この映画を見て感動したという人たちに、とりわけ若い人たちに、特攻隊と関わり、その悲惨さを知っている戦争体験者たちの声を聴いてほしいと思います。

悲惨な死、意味のない無駄死にを強制された特攻隊員たちは、特攻隊が美しく感動的に描かれることをどう感じるか、想像してみてほしいと思います。



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