今年の1月にあったイベントです。友人にレポートをもらっていながら、なんとなく掲載するタイミングを逃していました。
今改めて注目されている食の安全。放射性物質に限らず、わたしたちの周りには危険がいっぱい。先週コンビニ弁当の話を取り上げたので、それに引き続き、アップします。
日本と欧米の姿勢の違いが、明確にわかりますよ。
お話しの内容もさることながら、行われた場所が素敵なんです。日本一長いことで有名な天神橋商店街の近くにある中崎町商店街。このあたりはしょっちゅううろうろしているのですが、こんなスペースがあるのは知りませんでした。
そして主催しているのが、地元の「中崎通商店街内黒崎東商店会」。ね、これを聞いただけでも、なんだかおもしろそうじゃないですか? 地域のつながりの大切さが改めて見直されている昨今、商店街主催のサイエンスカフェって、どんななのでしょう?
テーマは今大問題になっている食の安全についてですが、このレポートはちょっとゆったりした気分で読んでくださいね。
わたしの地元でも、こんなカフェがあるといいな~。
(イベント報告)
1/19(土) 「北天満サイエンスカ フェ」@中崎通商店街
主催は「中崎通商店街内黒崎東商店会」。あの天六のちょっと北に位置する「商店会」が月一で運営しています。
もう56回目なので、4年以上も前から続いてるんですね。いろんなテーマをされているようです。
http://kitatenma-cafe.com/organizer.html
会場は、商店街の一角にあるスペース「Art & Science Cafe」。六畳ほどの広さでテーブルが一つあるだけ。普段は何にも使ってないと言ってました。
サイエンスカフェのときは、路上に2mほど張り出した柱を立て、透明ビニールの屋根と壁囲いをすると、約10畳ほどになります。身体を寄せ合って、16、7名ぐらいが座れるかな。町行く人からも見れるし、結構暖かかったですよ。
もちろんパソコン操作でプロジェクタを使って、奧の壁にデータを映します。提供者は固定ミニマイクをつけ、発言する人には1本マイクがみんなの手で回ってきます。
出入り自由、商店会で運営し、大阪市の「市経済局商店街活性化事業」にも認可され、無料で、だれでも聞いたり、質問したりできます。黙って聞いてるだけでももちろんOK。
通常の講演会と大きく違うのは、話題提供者が話している途中でも、いつでもストップして「分かりにくい」「もっと聞きたい」と言えるのです。普通は講演時間が終わるまで、途中で質問なんかしないのが礼儀です。ここでは違います。
「ちょっとそこなんですが・・・」と言うと、話しを止めて議論になります。また「ごめんなさい、ちょっと2つ前の画像をだしてくれますか?」と言えば、もどって先生が「ここ難しいですよね、みなさんどうですか?」と言う具合に進んでいきます(または、進んでいきません)。
黙-って、静かに聞いてるのがいけない場のようです。一方的に講師の方の話しを1時間ほど聞いて、終わった後に質問しても、「時間がなくなってしまい」終了ということがありません。
こんな進め方ができるのも独特ですね。
今の社会問題は、どれも、ある程度の専門知識がないと、理解しにくいという話題ばかり。自分で考え、情報を集めて発信、交流、運動・・・と考えると、地域にこんなフリーな場があるとないとでは大違いですね。
しかも、地元の人たちで地域の特性を生かして運営している、とっても勉強になりました。
私の町でも、そんな可能性というか、カフェができるスペースがないかな。
そんな目で、地元を歩いてみようと思いました。
さて内容です。今回は「食の安全を考える~予防原則が子供たちを守る~」です。
話題提供(「講師」とは言いません)は山口英昌さん。美作大学の先生で、「食の安全・市民ホットライン」(http://fsafety-info.org/
)の事務局もされています。
最初に、「食の安全を守る」→「子どもを守る」→「次世代(未来)を守る」と話され、「食の安全」に対する日本と欧米(EUとくにドイツ)との著しい違いを説明されました。
その根幹にあるのが「予防原則」に対する考え方だと言います。この言葉自体、いろんな考え方があり、一概にこれが原則だと即断するには難しい概念らしい。
でも(私の理解では)、
「事前に危険(健康を害する)が予想されるものについて、科学的因果関係が明確になっていなくても、何らかの基準を設けて、食品流通を規制すること、なにも起こらなかったら幸いだったと喜ぶこと」
と理解してみました。
EUは「多くの事例から明らかに危険との疑いがもたれた場合は規制対象にしていく」が
日本は「例えいくつかの事例が報告されても、科学的にきちんと解明されなければ規制対象にしない」。
山口先生はEUの場合は「倫理の視点からの判断」を持っていると指摘されました。
(蛇足ですが、大飯原発の地層問題をめぐる規制委員会の議論も同じですね。「地滑りか、活断層かが明確になって全員の委員が確認できないと稼働をストップしない、科学的にきちんと説明されなければ、稼働を止めない」)
だから、EUは認定している食品添加物の品目数も多く、その規制値もたいへん厳しい。
またEUからの輸入品目に法外な関税をかけると米国が圧力をかけても、規制基準を越える輸入品目は一切「禁輸」という姿勢(倫理)がある というのも大きい。
日本はどうか、日本は規制対象の食品添加物が米国の圧力(認めないなら日本製自動車関税率を上げる)によって除外されたり、食品添加物の表示形式が消費者に分かりにくくされています。
明らかに以前より規制が緩んでます。つまり簡単に米国の圧力に屈してしまうのです。
外国の食品産業からみると、「日本はなんでも受け入れてくれる有り難い国」と評価されています。
先生は、一頃に比べて、日本の消費者運動が低下しており、その分、食の安全がますます危うい状況だと説明されました。
もちろん、放射性物質も食品に添加物として入り込んでいます。
ここでも、食品添加物に対する姿勢と同じく、食品に含まれる放射性物質でもEUに比べて、日本の規制が超ユルだと説明されました。
311後、政府が公表している分だけでも「基準値越え」が2万数千件になっていること、それを先生が独自に一つ一つ入力した貴重なデータを示されました。
「データの取り方に差があるので、慎重に評価する必要あり」と断りつつも、それでも放射能で汚染された食品が多種に、多地域に広がっていることが分かるし、他の添加物等の基準値越えの割合からみると、放射性物質の基準値越えの割合はケタが一つ以上も違う、
「かなりの頻度で(EUからみたら超ユルの)基準値を超えていることが分かります」
と言ってました。
こんなデータは初めて見ました。関心あるか方は、以下のサイトをご覧ください。山口先生は、公開しているので、使ってくれるとこちらも嬉しいとのことでした。
「食の安全・市民ホットライン」
http://fsafety-info.org/
を開き、左欄の「データベース」 から (2)ご注意ください をクリックし、表中を探してください。
画面をスクロールすると「放射能(放射性物質)汚染食品」という項目が出てきます。
なお、山口先生、どこに住んでると思います?
大阪から2000キロも離れた屋久島のそばにある「口之永良部島(くちのえらぶじま)」。先生自身も下記ブログで「広報担当」として「島の紹介」をされています。
http://kuchi-erabu.org/senior/profile.htm
仕事があるので島と本土を行ったり来たり。でも今年3月で退官されるようです。4月からは、島でずっと暮らせるかなと嬉しそうでした。
仕事は優先順位4位、2・3位がなくて、「遊び」が第1位と話されました。
「自分でつくった野菜のサラダは最高に旨いですよ」とニッコリしていました。
帰宅して山口先生の書かれた本を検索。
ありました。「情報が食の安全を守る」(2012.10 旬報社)です。
もう一つは「放射能汚染食品、これが専門家8人の 食べ方、選び方」(2011.10 東洋経済新報社)
これも中古を購入しました。
自然科学に限らず、社会科学でもなんでも、こんなフリーなスタイルで運営できたら、「運動」に広がりがかならず生まれると思います。やっぱり「専門家」と「普通の市民」が地域で「科学」をもとに対等にディスカッションできるのがいい。時には、お酒をちょっと飲んだり、お茶しながらね。
黒崎東商店会は音楽ライブもするので、会場の名称は「Art & Science Cafe」です。
こんな場所が地域にあったらいいですね。
(おしまい)
このレポートを書いてくれたkazu さんのブログ
放射能から子どもを守る鷹峯の会
(http://ameblo.jp/j-locke/
)
どうですか? 食の安全というのはとても重要な問題ですが、このレポートはゆったりした気分で読めたのではないでしょうか。
毎日次から次へと深刻な問題が起こる日本。
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